カレー屋にて

隣に座っていたおじさんが、いきなり「おまえ、そのカレーがうまいと思うなら舐めて食え。お上品ぶってスプーンなんか使うな」とか言ってきたのだ。たいそう腹が減っていたので汁の細かいところまで掬って食べようとして、食器をカチャカチャうるさくしてしまったのがいけなかったのかもしれない。が、僕自身の感覚では、このように、食い物屋での見知らぬ他人にいきなり声をかけることからしてありえないことだ。だから無視してやろうかと思ったが、おじさんはまだ何かいろいろ言ってくる。だから一度だけつきあって皿を舐めてやった*1。するとおじさんは図に乗って、なおあーでもないこーでもない言うてくるではないか。善意からなのか、それとも単に威張る相手が欲しかっただけなのか。いずれにせよ、僕は面倒なことになったと思ったので、突如キレたかのように「ごちそうさまでした!」と叫んで店を飛び出してしまった。
しかし僕は、最後までおじさんにつきあってあげるか、さもなければ最初からきちんと喧嘩するかのどちらかにするべきだったのだ。否、僕は今、余分なプライドを捨てようと志している筈なのだから、是非とも前者を選ぶべきだった。でかい態度を取られるのも、カレー屋の中だけの話じゃないか。いずれにせよ、最初だけつきあっておいて、しかる後に「四宮ギレ」というのは最悪の選択だったと思う。しかも店から飛び出るに当たって、たまたまその場にいた女性を邪険に扱ってしまったし。
あと、こういう経験ができるからこそ、用はなくともとりあえず外出をしてみる価値というのがあるのだと思った。

*1:追記: 自分であとから読んで、「してやった」という物言いがとても嫌な気分になった。