僕がフィクションを読まなかった理由

「おまえは小説とかから色恋について学ばなかったのか!?」という質問を電波で受信したので回答します。
僕にとって読書とは、ただひたすら知的好奇心を満たす、あるいは笑いを求めるための行為でありました。前者には評論やあらゆる種類の専門書、およびある種のSFが属し、後者にはVOWとかのネタ本やある種のドタバタ小説が含まれました。
そして、大多数のフィクションは僕の求める読書のニーズを満たさない。小説を読んだって知識が増えるわけでもないし笑えるわけでもない。理系少年だった僕には人間の心理の移ろいなんてまるで興味がなかったのですね。
また、自分が読んできた本のなかに好いた惚れたの話が全く出てこなかったわけではないですが、それらは僕の読書の総体のなかでは瑣末な部分を占めるに過ぎず、しかもそれらの全ては「ひとごと」で処理されていたような気がします。
そうして、「小説以外はなんでも読む人」を自負したまんま何年もつっ走ってしまったというわけです。でもおしまいの方には、「今さら小説なんか読んだら辛くなりそう」という理由も加わっていたかもしれません。