尊大な先輩たち
今日はちょっとグチにて失礼。
今僕が職場で携わっているプロジェクトは、社内の少し離れた部署との合同事業で、両者の関係は、発注元は向こう側だが技術力はこちらの方が上、というものである。で、僕は、「技術力のある下請け側」の一番下っ端の正社員として従事している。でねー、これが、なかなかつらいのですよ。
ソフトウェア開発の例に洩れず、上請けである先方はいろいろ無理っぽいことを注文してくるんだけど、僕が腹を立てているのは、むしろこちら側の先輩方の傲慢さの方だ。
下手に技術力があるせいで、平気で先方を見下す傾向がはっきりと見られるのだ。交渉のメールや電話を見ていても、かなり失礼なことを言っているような気がする。「バカの言いなりになってられっかよ」という態度で交渉に臨み、きちんと相手の言い分を聞かないでいるから、結局大抵は向こうの言いなりになってしまう(まあこっちの方が下請けなんだからしゃーない面もあるんだけどさ)。そのくせ内輪では「またあいつらがバカ言いやがってよー」とか腹黒い笑いで盛り上がる、といった具合だ。
僕は、先輩方にこう申し上げたくて仕方がない。
「事業部が遠いとはいえ、かりにも先方は同じ開発仲間で身内ですよね? どうしてまっすぐ向こうと対話しようとしないのですか? どうして先方と仲良くしようと思わないのですか?」
いや別に友達になって馴れ合えというのではなく、相手が他事業所になったとたんに嫌な奴になるのはどうか、ということだ。自分たちの方がプログラミング能力があることを根拠に向こうの事業部の人を見下すのは非常に感じが悪いでしょ、ということだ。
もしもこのプロジェクトがあまりうまくいっていないのだとするならば、その原因の半分以上は、取引相手とまともなコミュニケーションを取ろうとしない、こちら側の態度にあるような気がする。
ここまで書いて、新人研修のときに会った同僚のことを思い出した。彼は技術職として採用されたくせにやたらと人なつっこく(馴れ馴れしいと言ってもいいくらいだ)、僕は部門配属が発表されるまで彼のことを営業系採用だと信じて疑っていなかったほどだ。
で、彼が研修中のあるときに曰く、「自分は頭が悪いし技術力とかも全然ないけど、コミュニケーション力だけは自信があるからそれで乗り切っていこうと思う」と。当時の僕はこれを聞いて、技術職は第一に技術を以て世渡りの道具とするべきだ、それを放棄してコミュニケーションに逃げるのは いやしくも技術系の人間として間違っている、と軽侮したものだ。
しかし配属以来数年の経験で、技術職でも、否、技術職だからこそ、コミュニケーション力で乗り切る、というのは全然アリなのだということを僕は思い知らされた。そして今や僕は自分の先輩に対して、ここは技術力よりもコミュニケーション力だろ、という不満を抱きつつ働いている。因果が巡るとはこのことか?