(2004年1月1日記載)

日本社会における、2組の矛盾した恋愛規範。すなわち、禁欲的な旧規範と享楽的な新規範。「新」とは言ったが、むしろこちらの方が日本人の本来に近い。明治以来我々は無理を重ねてきたのだ。
今や男は、多かれ少なかれ、旧規範の感覚では「ナンパ師」のように振舞うことを社会から暗に要求されている。
社会の大部分が新規範に移行しているにも関わらず、政治家などの指導層の大多数は未だに旧規範の人だ。そのせいで教育現場では旧恋愛規範の線に則った「生活指導」がなされている。中学高校の校則は、暗黙のうちに

  • おしゃれはいけないこと
  • 恋愛はいけないこと
  • 世間の流行は軽蔑すべきもの

というメッセージを発してはいないだろうか? 9割までの生徒はそんな窮屈なメッセージなど当然聞き流すのだが、残りのウブで糞真面目な1割はこれを真に受けてしまい、大人になってもこれを墨守し続けて馬鹿を見る。
昭和40年以降に生まれながら旧規範を選んでしまった者は、学校で学んだことを鵜飲みにしてしまっただけのような気がする。そして、そういう人たちは例外なく生きにくさを感じていることと思う。
いわゆる「オタク」というのは、もしかしたら「社会規範の移行期に損な選択をしてしまった人たち」なのかもしれない。