インチ⇔メートルの新しい近似方法

近似インチの導入

サーバラック(業務用のコンピューターを収納する箱)のことを調べていたときに、以下のような記述を発見した。

さて、この TIA/EIA-310-D という規格ですが、具体的にはレール間の幅を 19 インチ(482.6mm) 、機器の高さ 1.75 インチ (44.45mm) をひとつの単位(1 U )としています。

http://www.rinbard.co.jp/category/1213018.html

44.45mm! これは 400/9 (=44.444...) と極めて近い数値だ。何かに使えそうだ。
早速 7/4in ≒ 4/90m と置くことにしよう。そうすると、1in ≒ (4/7)×2/45m = 8/315m ということになる。
次に誤差を見積もる。本当の1インチは正確に25.4mmなので、今導いた近似インチとの比を取ると、8/315 : 254/10000 = 80000 : 315*254 = 80000 : 80010 = 8000 : 8001 となる。従って、近似インチは真のインチより 1/8001 だけ短い。ピラミッド・インチ(笑)より正確だし、実用上はそれほど困らなさそうな誤差だ。

近似インチの利点

知る人ぞ知る事実だが、インチという単位は 2の累乗で割って使われることが多く、5/16インチとか3/8インチという長さが平気で現れる(後述)。しかし上の近似は、分子に8という数字が現れてくれているので、そのへんの計算と相性が良い。まあ、分母に315という半端な数字が現れるという問題はあるが、角度と違い、長さを任意の個数に分割することは容易なので、実務上の障害は少ないと言えそうだ。

応用例: レゴブロック

これまた知る人ぞ知る事実だが、レゴブロックの寸法はインチ単位で定められており、1ポッチの縦横の長さは5/16インチ、(ポッチの部分を除いた)高さは3/8インチという設計になっている。
この寸法に上の近似を当てはめてみよう。

  • レゴブロックの幅 = 5/16in ≒ 5/16×8/315 m = 5×(8×2) / 8×(5×63) m = 1/(2×63) m = 1/126m
  • レゴブロックの高さ = 3/8in ≒ 3/8×8/315m = 3/(105×3) m = 1/105m

以上より、レゴブロックを水平に126ポッチ分並べるか、垂直に105段積むかすると、およそ8000分の1の誤差で、1メートルが得られることが分かる。