電子じゃない場合もあるのに

コンピューターによって操作され、インターネットを介して行き来する様々なことがらについて、我々はしばしば「電子」という接頭辞を多用して「電子メール」「電子書籍」「電子マネー」「電子署名」等々のようにいうが、よく考えたら、これは少しだけ変ではないだろうか?
確かにコンピューターの内部において、情報は導体を通じる電気信号の形で存在しているから電子といえる。しかし、ハードディスクに記録される情報は、磁性体の磁化という形で記録されているから電子ではないし、光ファイバーによる情報の伝達は、金属線とは違って、電子ではなく光子を媒介にしている。さらに、CDやDVDの記録の正体に至っては、数百ナノメートル程度の物理的な凹凸だったりする。
こうした例外があるにもかかわらず、コンピュータが扱う情報に関して、一律に「電子」という言葉が頭につくというのは、ちょっと面白い話だと思う。