お客様はいつまで神様でいられるのだろう

「お客様は神様です」とは、いやしくも客商売ならば絶対に守らなければならない金科玉条ということになっている。店のものを盗むなどのあからさまな犯罪行為を行わない限り、客がいかなる非礼を働いても、店員がその客を叱責することは社会的に許されていない。けれども、そういう苛烈な要求にいつまでも耐え続けられる事業体はたしてあるものなんだろうかと、時折心配になってしまう。そいつを神様として遇することによってとてつもない損害を引き起こしてしまう客というのは、数万から数十万人に一人という低確率だとは思うけれども、確実にいると思う。しかも、ネットがビジネスに絡んでくるならば、それだけでおかしな客との遭遇率は数十から数百倍に高まるし、ましてや、あらゆる業種において、ネットのビジネス利用は無視できなくなりつつある。そんなだから、「お客様は常に神様です」とするビジネス規範はこの先数十年くらいで破綻し、いずれ「99.99%までの客は神様扱いすべきだが、でも……」のようなものに変化するのではあるまいかと、僕は勝手に思っている(あるいは期待している)。